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2011年3月6日日曜日

「詩をきっかけとして考える会」3月例会案内


Mさんは講師を務める大阪のカルチャーセンター出張にて、またNさんは病気療養中欠席の旨事前連絡があり、2月例会出席者はY、K、S、T(敬称略)およびJの5名であった。

3月例会では、会のテーマとして取り上げるに相応しい、世情を賑わせている問題ないしそれに関連する事柄に付き、議論を展開させるべく、コーディネータJの見解を専ら述べさせて頂いた。内容は概略以下の通り。

1.価値判断の基準が経済(お金の仕組み)に偏りすぎていないか?

日本のGDPは世界第2位の地位を中国に譲った(マスコミもヒステリックな報道を繰り返し、一般庶民もそれに乗せられて中国脅威論を声高に述べ立てる現状を見ていると、多分、軍部独走に至る大戦前夜の状況も、類似であったろう、と想像される。
そもそも物事(国の品格、民族固有の文化、技術、文明等)は経済的(お金)基準のみで計れるものではない。一例として、日本が中国より優位である時期があったにせよ(先ず、価値判断の基準如何にもよるが、仮に経済や軍備に限っていえば)中国数千年の歴史のうち、我が国明治維新から平成の極初めくらいの精々百年程度ではないか。日本では文字の無かった時代二、三世紀頃、既に中国の魏志倭人伝によって、ようやく統一国家の体を取りつつあった倭国についての記述のあったことは、文字を識った七世紀の日本書紀に記されている。無論、日本にも独自に形成され、受け継がれてきたユニークな文明が存在するが、中国文明なくして、今日の日本文明は存在しなかったといっても過言ではなかろう。今、記している漢字一つを取り上げても自明の理である。一億人が揃って「勝ったの、負けたの...」とヒステリー状態に陥ることこそ異常である。
ちょっと考えてみても、中国大陸から朝鮮半島を経て日本へ至るルートなくして、今日の日本の文明、文化、技術は存在しない。

2.米国スタンダードのグローバル化神話に惑わされていないか?

開国が進歩した考えで、鎖国は後ろ向き指向という無思慮な掛け声に洗脳され切っている。それも米国スタンダードの誤ったグローバル化という言葉に幻惑されている事実は、小泉-竹中路線の齎した惨憺たる荒野の現実を直視しない(あるいは出来ない)盲目状態と言える。
現代に鎖国が実現できる筈はなく、インターネットの発展による国境を越えた情報伝達が世界を変えている現実と、その効果は何人も否定し得ない。従って、江戸時代の全てを賛美するわけでもないが、この狭い国土で巧みに暮らして行く我々にとっては、大いに参考とすべきモデルが存在する。その中でも最たるものは、「己の身の丈にあった生き方」にある。経済偏重思考、効率化一辺倒思考により不毛となりつつある我が国の精神的風土の再生と活性化に大いに貢献しうるモデルではないか。

所詮、日本は日本である、卑下することは無いし、また米国や中国をうらやむ謂れもない上、一国の忠犬となって善悪、国益の別なく常に追随せねばならぬ理由も無い。沖縄の基地問題、TPP問題などもこの信念に基づいて検討すべきだ。

3.中央集権、首都一極化は行き詰まりつつあるのではないか?

世界的傾向とはいえ、経済が停滞し、格差が生まれ、貧困が目に余るようになってきた。今や国家も、あるいは市場経済も、その機能を、市民が望む形では果たせなくなって来ている。これからは第三の「市民社会」の出番である(ベンジャミン・R・バーバー)。NGO、NPO活動などがその具体例であろう。また、中央に集権して国家に市民の命運を託すやり方には、破綻が見え始めている。地方に力点を移し、地域を蘇らせてこそ今後の生きる道が見えて来る筈だ。
都会に比べ、地方には活用すべき場所が多くあり、また放置されたままになっている。効率や奢侈ばかり追うのではなく、自然に根ざした堅実な生き方の中で仕事を創出し、限界集落を解消すべく、高齢者の知恵と若者の労力をコラボレーションする方向を目指すべきだ。

大雑把に以上のごとくであるが、例会ではNHKの「無縁社会」を取り上げたドキュメンタリーも視聴した。この内容について、I氏より意見が寄せられていたので、それについて簡単に触れておこう。氏が指摘するように、番組自体としては内容も作り方も駄作である点は同感である。しかしながら、国の手先でしか無く、公共放送の役割も果たせないから、完全民営化すべきだ、という意見には俄に賛成し難い。何故なら、民放はスポンサーのCMにより経営されるものであり、換言すれば市場至上主義の手先だからである。場合によれば、国家以上に不適切な言論誘導を行う可能性が高いし、今でも疑わしいことは否定できない。
この観点からもジャーナリズムも第三の「市民社会」主体の方向へ進むべきだし、元もと真のジャーナリズムは、江戸から明治初年までの、権力から「手鎖」の罰を何度受けてもへこたれないマイナーな硬骨漢によって遂行されて来た仕事であり、メジャーな、ましてや利潤追求型市場経済主義に汚染された組織には到底馴染まぬものだ。

次の例会では、以上のような私見に対する参加者諸氏のご意見を伺い、実践可能な行動を見極めて行きたい(文責:H.J.)。

3月例会日時は下記の通り。

       場所: JR海南駅前「ヴァンサンカン」2階個室
        日時: 3月16日(水)午後1時30分より

               「ヴァンサンカン」TEL: 073-482-1899

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