My Ads

2009年5月17日日曜日

原始の血

 古座川の一枚岩である。

 国指定の天然記念物の大岸壁で、高さ100メートル、幅500メートル。見る者すべてを圧倒する。 この一枚岩を見上げる河原で、司馬遼太郎は古座で知り合った人達から山菜をご馳走になった、という。

 
街道をゆく』<熊野・古座街道>には、「夜などひとりでこの河原にいればこの巨大な自然物の威圧をかわすのに、よほど無神経にならねばならないに相違ない」とある。

 実際にこの岩の前に立ってみると、思わず、時空を超えた素朴な畏敬の念を覚える。身体の中の原始から伝えられた血がざわめくのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿